IKEAの課題を解決するには?

「家での幸せな暮らしは、自分の居場所、人の居場所、そしてみんなの居場所が調和したところに生まれると気付きました。しかし、共同生活の場で自分の居場所を見つけることは容易ではありません」

Lydia Choi-Johansson IKEA(スウェーデン)データ分析スペシャリスト

ニーズ

世界最大の量販家具店であるIKEAのビジョンは、出来る限り多くの人に自宅でのより良い暮らしを届けることです。

同社は、小売業者の域を超えて、良質でリーズナブルな価格の製品を提供することで、人々の暮らし、食事、睡眠、さらに夢にまで変化をもたらし、持続可能な未来の創造に貢献したいと願っています。IKEA は、顧客がリラックスできる我が家を思い描いた時点で、より良い暮らしへの一歩を踏み出したと考えます。

その信念をより確かなものにするために、私たちC Spaceが、選ばれました。IKEA の協力のもと調査を進め、「Life at Home レポート2017」を発表しました。私たちが目指したのは、自宅の暮らしにおける人々のニーズと夢を理解し、世界中で話題になるようなソートリーダーシップまとめることでした。

ソリューション

IKEA はこれまでにない熱い想いを抱き、「Life at Home レポート2017」の中で、自宅での人々のニーズと夢を明らかにしたいと考えました。6ヶ月に及ぶ調査では、定性的・定量的手法を融合させた大がかりで新しい方法を採り入れました。私たちは自宅でのより良い暮らしのために必要なものを追究するために世界中を巡り、874時間を費やして人々の生活を調査しました。

C Space と共に、IKEA は以下を実施しました。

  • オースチン、成都、大阪、コペンハーゲン、ムンバイ、ミュンヘンの各都市のご家庭を訪問し、36件のインタビューを実施。
  • 事業を展開する主要7ヵ国(米国、中国、インド、デンマーク、ドイツ、日本、およびロシア)でオンラインコミュニティを運営。
  • エスノグラフィ調査、未来考古学、工業デザイン、物質主義、心理学、および、デジタル・文化人類学の専門家4人へのインタビューを実施。
  • 「ホーム・パイオニア」と称する一連の調査を開始し、従来と異なる生活環境にある人々、あるいは非常に珍しい家に暮らす人々の存在を把握。自分を撮影したビデオや、6ヵ国に点在する「ホーム・パイオニア」をコペンハーゲンに招集して開催したワークショップでは彼らに話題の主導権を委ねました。
  • 22ヵ国、21,000人以上を対象に調査を実施し、インサイトと仮説を徹底的に検証。

THE C SPACE WAY

顧客視点に立った課題解決

問題の定義

プロジェクトをハリウッド映画の脚本作りのように捉え、調査を感動的なストーリーへと変身させました。インサイトとコミュニケーション両チームの尽力により、一連の「編集」ワークショップを通じてストーリーを柔軟に作り上げることで、IKEA がより良い暮らしの創造を導くガイドを完成させることができました。

居場所の確保

私たちは、ユニークで独創的な人々が世界中にいることに気付きました。彼ら「ホーム・パイオニア」は、生活環境が違っても発想豊かな個人の集まりとして互いに連帯感を抱いていました。私たちはこの考えを調査の方法論において活用しました。彼らにとって自宅はどんな意味を持つのか、その真実を解明するために、ビデオ日記やチャットメッセージを活用して継続的な調査を行い、彼らのうち18名をワークショップに招待しました。

関係の構築

We were working with customers online in markets that 文化的相違を尊重する必要がある市場(例、中国、ロシア)では、顧客とオンラインでやり取りしました。私たちが目指したのは、顧客が安心して心を開き、十分に考えを共有できる環境を整備することでした。顧客は絵文字や写真、投影描画法の使用するなど、非言語的コミュニケーションを効果的に用いました。こうして私たちは最終的に、自宅の暮らしを困難にする5つの主要なストレスを突き止めることができたのです。

クライアントと共に勝ち取ったもの

かつてない大規模かつ大胆なアプローチ

私たちの発見を広く理解していただくために製作したコミュニケーションパッケージでは、「5つのストレス」と呼ばれるものに着目しました。たとえば「家の中が散らかっているせいで起きるけんか」や、「DIYのことを考えるだけでどっと疲れる」などの、世界中の誰にも共通するフラストレーションです。

映像やアニメは、時として深刻なテーマをコミカルなタッチで表現し、トークショー形式の視聴者討論番組から、ビジネス誌に掲載されている主要統計データに至るまで、様々な種類のメディアが多くの視聴者を獲得してきました。それらからヒントを得、内容をエピソード風に構成することで、IKEA各地のコミュニケーションリーダーは、それぞれ最適なタイミングで、そのファインディングスにアクセスできるようになりました。ソーシャルメディアの活用も容易になり、また、対話型のマイクロサイトにも後押しされ、さらに議論が進みました。

なお、このプロジェクトの真の成功は、現在進行中のIKEAの長期計画・活動の中に感じられます。知識をブランドに活かすことは明確な方針となっており、それゆえ私たちは、特別な勉強会、社内コミュニケーションツール、部門内の定例ミーティングなど様々な手段を講じて、何千人もの IKEA スタッフへの周知に努めました。

次年度の IKEA カタログは、我々と何百万もの人々が共有した調査を参考に編集されます。IKEA グループのグローバルマーケティング・チームは、「ホーム・パイオニア」報奨プログラムを立ち上げる予定です。さらに、「自宅の暮らしレポート」こそが IKEA のグローバルコミュニケーション戦略の中心的存在です。